夫原病 その2
翌朝、夕べの文句の続きを定年男が言い出した。
「どうせ、俺の事がみんな嫌いなんだろ?
話したくないんだろ?でもね、俺はみんなのために必死で働いてきたんだよ!」
「終わってんな、うちは」
はあ...んで?
「え、どうしたいんですか?離婚したいんですか?」
「離婚なんかしたい訳ないだろ!でも、俺の事がみんな嫌なんだろ!」
(離婚したいんじゃないのかよ...)
(嫌に決まってんだろ!年中、絡まれて)
「離婚してくれと言うのなら、条件を出してください。その内容によっては考えます。
のむかどうかはわかりません。私は、家の事も姑の世話もやってきました。私にはこの家に居続ける権利があると思っています。」
「終わってるという言葉は、何を意図してますか?その言葉をもって、何をしたいのですか?目的を教えてください」
「・・・」
離婚に応じない理由は、経済的な事もあるが、
うちには4匹の犬がいるからだ。
大型犬もいるので、借家という訳にはいかないのだ。
離婚だ、と言う時、その子達の事は考えているのだろうか?
まあ、あっちが出ていけば良いのだが。
遅れて起きてきた子供に3時間近く、論理的に説教されてた。
何故、みんなが避けるのか
何故、子供とコミュニケーションがとれないのか
何十年もの間、家族として関わってこなかった当然の結果であると。
酒を飲んで絡まれて、みんながどれほど嫌な思いをしてきたか。
すぐに怒ったり怒鳴ったりで、みんなが怖い思いをしているのをわかっているのか。
家庭の中で管理職のように振る舞うな。
父親であるだけで偉い訳ではない、と。
父親に説教しなければならないなんてな。
勘違いすんなよ、情けなくてかわいそうなのは子供だぞ!お前じゃない。
お前は自業自得だから良いんだよ。
好きなようにやってきたんだから。
ともかく、私の邪魔をすんな。
私や子供達に不愉快な思いをさせるな。
まるで鬼嫁のような言い草に聞こえるかもしれないが。
掃除、洗濯、買い物、料理、片付け、家事の一切合切をしている。
植木の手入れをし、玄関周りはいつも花が咲き、畑には野菜が作ってある。
私にこれ以上何をしろと?
俺の話相手になれ、と言う事だろうが、いい加減にしろや。
私には何してくれてんの?笑
何にもしてくれなくて良いからね!
私は一人で楽しく生きてっからさ。
マジ、邪魔すんなよ。